予約
ラフティング
ハイドロスピード
キャニオニング
カヌー
レスキュー
降水量
水位
水温・気温
吉野川中止率
水文情報
情報リンク集
早明浦ダム問題
貯水量
濁水
低水温
早明浦ダム情報
早明浦・山崎ダムによる人為的な水位変動
早明浦ダム〜山崎ダム〜池田ダムの吉野川上流約63km(吉野川全長は194kmなので、約32%)は、池田ダムの湛水区間約6kmを除くと、通常時は早明浦ダムからの放流水が川の水量の大半を占め、放流操作により、大きく水量が変動する。
早明浦ダム〜山崎ダムの約11kmは、発電放流により放流なしから60トン/sまで乱高下。まったく自然の川ではない。
山崎ダムから下流の約56kmも、山崎ダムの逆調節機能が不十分なため、時間単位の大きな変動が常態化している。
ダムによる人為的な水位変動を改善するための提案
山崎ダムの運転・操作内容の見直し
逆調節機能は十分効果を発揮しないのは、容量不足のせいかもしれないが、どうみても、早明浦発電所との連携不足としか思えない、ルーズな操作。
早明浦ダムの発電パターンをいくつかに類型化、単純化し、それに応じた山崎ダム操作を決すれば、山崎ダムからの放流水を平準化するのはそれほど困難ではないと思われる。
また、現在のような電力需要に合わせ猫の目のように変更される発電放水(電源開発のテレホンサービスで発電予定を聞けるが、これが度々、不定時に変更され、使いものにならない)でも、高度な数学的対応(アルゴリズム?)でも平準化は可能だとも思われる。
(専門家ではないので実際は?しかし、日本の河川水利管理の多くのは、足し算と引き算しか適用していないとしか思えない事例が多々見られる。洪水時、災害時などシンプル・イズ・ベストがリスクを回避するケースもある。が、水文現象は複合的複雑な事象なので、通常時はそれに対応して高度な数理的対応が求められるのではないだろうか。)
山崎ダムに魚道の設置
山崎ダムはそれほどの落差がない「堰堤(えんてい)」(日本では高さ15m以上をダム、未満を堰堤という)なのに、建設時に魚道を付設しなかった。このため、アユなどの回遊魚がこれ以上、上流へ遡上できない。
竣工後、再三、山崎ダムへの魚道の設置要望があったようだが、一度造られると、「過大な費用負担」云々で、拒否されるパターン。しかし、ダム以前、以後の比較、定点、定期的観測と、評価、見直し、そして操作・運用や改築・改造へのフィードバックは河川管理室に限らず、必要不可欠である。
現状のピーク変動発電から、ベース発電=一定放流量の継続運転への変更
早明浦発電所の発電放流は、ピーク需要(9〜12時および13〜17時の都市工業生産活動需要、夕方の生活需要)に合わせて発電されるので、放流なしから60トン/sまでいびつな時間変動をもたらす。しかし、早明浦ダムは吉野川本流に建設された大ダムで、それより下流は、このダムにより殺生与奪権を握られていると見ないしてよい。水棲生物や河畔環境、河川利用者に配慮し、より自然の状態の川を保持するためにも、ベース発電=一定放流量の継続運転に変更すべきである。
そうすれば、山崎ダムは不要となり、撤去すれば、早明浦ダムまでの11kmおよび、合流する支流域も蘇る。
早明浦ダム・発電放流による人為的な水位変動・
2013年8月11日〜17日・早明浦ダム放流量(トン/s)/毎時
早明浦ダム〜山崎ダムまでの約11kmは、通常時は主に早明浦ダム・発電放流量により水量が決まる。発電放流は、発電需要に合わせ、最大で毎秒62トン、最少は発電なし=放流なしとなり、大きく変動する。
下記の表の場合は、毎秒20トン〜60トンまで、3倍も時間単位で上下する。水量の調整が容易なので、主に、発電のピーク需要に合わせるので、夏季の場合は、13時〜16時の需要のピークに合わせての発電だと思われる。
※表をクリックすると大きなサイズでみることができます。
The artificial water level change by the Sameura dam
Discharge(unit:CMS) from the Sameura dam of every an hour in August 11 to 17, 2013
山崎ダム/逆調節ダム
早明浦ダムの約11km下流にある、山崎ダムの役割は、逆調節ダムで、早明浦ダムに併設されている早明浦発電所の発電放流が、時間単位で変動するので、山崎ダムで放流多いときは貯め、少ないときは放流を多くすることで、ダムより下流の吉野川の水量を平準化する機能を持つダム。ところが、容量が小さいためなのか、下記のように、通常時は、時間単位の変動が常態化している。
しかも、山崎ダムは堤高が低いにもかかわらず、魚道もなく、天然のアユなどはこれ以上、遡上できない。
山崎ダムの横にある看板。「早明浦発電所の運転によって下流に大きな水位変動がおこらないように水量を調節する目的をもったものです。」と明記。しかし...
早明浦・山崎ダムによる人為的な水位変動・
2013年8月11日〜17日・豊永(大豊)水位(m)/毎時
山崎ダムより約15km下流にある豊永(大豊)水位観測所。大雨などによる自然変動が少ない時は、ダムによる影響が大きい。通常時は、山崎ダムからの放流は2時間ほどで到達。午前水量少なく、午後水量多いことが長期間継続する。
下記の表のように、0.65m=約40トン/s→0.85m=約55トン/sと、1日で15〜20トン/sも変動。
上記の同期間の早明浦ダム(発電)放流との変動と比較すると、40トン/sの変動差が、山崎ダムにより、半分から半分弱まで平準化されたともいえる。しかし、不十分である。
下記にあるように、時間変動の影響は、60km下流の池田ダムまで及ぶ。
※表をクリックすると大きなサイズでみることができます。
The artificial water level change by the Sameura dam
Water level of every an hour in August 11 to 17 in the Upper Yoshino river, 2013
早明浦ダム・山崎ダムによる人為的な水位変動・
2013年8月・豊永(大豊)水位(m)/毎時
2013年8月は、降水量が少なく、人為的変動のみ。見事に、毎日、この波形が継続。後半水位が落ちているのは、この下流の支流、祖谷川流域で200mmほどのまとまった雨があり、取水堰である池田ダムへの流入量が増したので、早明浦ダムからの放流量を激減させたため。激減時にも、発電の変動が反映されている。山崎ダムが十分な調整をしたとは思えない。
※表をクリックするともう少し大きなサイズでみることができます。
The artificial water level change by the Sameura dam
Water level of every an hour in August in the Upper Yoshino river, 2013
早明浦・山崎ダムによる人為的な水位変動・
2013年8月11日〜17日・池田ダム流入量(トン/s)/毎時
山崎ダムから池田ダムまで約52km。その間に、穴内川(高知分水)、伊予川(銅山川・愛媛分水)、祖谷(いや)川(松尾ダムから下流へ分水)の中規模の3つの支流が合流するが、括弧内にあるように、それぞれ、上流のダムや堰堤から取水され分水嶺を越えて別の水系や下流に放流され、上流の吉野川には水が戻ってこないので、通常水位では、吉野川本流の水の大半は、山崎ダムからの放流水となる。そのため、不十分な逆調節機能しかない、山崎ダムの変動水量の影響が池田ダムまで続く。
早明浦ダム〜山崎ダム〜池田ダムの吉野川上流、約60kmは、通常時では、早明浦ダムのによる時間単位で変動する水量変動を恒常的に受けている。
※表をクリックすると大きなサイズでみることができます。
The artificial water level change by the Sameura dam
Inflow(unit:CMS) to the Ikeda dam of every an hour in August 11 to 17, 2013
池田ダムにより、下流はほぼ平準化される・
2013年8月11日〜17日・池田ダム放流量(トン/s)/毎時
池田ダムは、早明浦ダムで貯められ(開発された)都市用水・農業用水を取水する場所になる。
池田ダムから下流へ、通常時、水力発電と魚道により下流へ放流されるが、表のように時間変動も微小。池田ダムは容量的にも十分な逆調節機能を持ち、発揮している。以後、吉野川・中流〜下流は変動の少ない、自然に近い水量となるようだ。
※表をクリックすると大きなサイズでみることができます。
Discharge(unit:CMS) from the Ikeda dam of every an hour in August 11 to 17, 2013