緩急傾斜地・構造物/ロープ救助講習会

ロープ救助や高所活動は、いかに墜落を防止し、墜落発生時もいかに安全に止めるかです。
万が一、ロープ・システム(アンカー、各器具、操作者)が破たんすれば、致命的な事故につながる可能性が高くなります。そのため、ワン・ミスでも安全な、2つの独立したロープ・システムの組合せによる、冗長系(リダンダント)のシステムです。
単に器具やシステムの扱い方を学ぶにとどまらず、角度による力の増幅などの自然法則(力学)、重要で参考となる各実証・論文(エビデンス、動画など)、各規格・基準の基礎からみっちり学び、実際のシステムへの適用に気付き、理解しましょう。それに基づき、安全マージンを含む運用限界を決めてください。
ロープ・システム(リギング)は、複雑です。講習会終了後も、質問など受付いたします。決して簡単とはいえない内容と分量ですが、納得、理解されるまでアフターフォローいたします。

1953年、内芯と外被の二重構造のカーンマントル・ロープが開発され、登山や洞窟などのレクリエーション・アクティビティの資機材は大きく変革を始めました。レクリエーションの資機材は、救助分野へも転用され始め、1980年代には、カナダのブリティッシュコロンビア州専門救助評議会(BCCTR)により、ビレイ適格性落下テスト法の開発と10:1静的システム安全率(SSSF)が提唱され、100%荷重メインライン+荷重なしビレイのツーロープ・システムの救助方法が整理、検証、確立し、世界基準の一つ、NFPA(米国防災協会)にも採用されました。その後、世界各地、各団体での検証や見直しで、長い下げでの一部荷重分担ビレイTTRSツーテンション・ロープ・システム)の各方法・器具も開発されています。

2016年、カナダ・ブリティッシュコロンビア州危機管理(EMBC)は、BCCTR救助体系を全面的に再検討・検証し、ロープ救助体系をTTRSに統一、改定し、NFPAも従来の荷重なしビレイに加え、2021年に採用、世界へ広まりつつあります。

世界標準の一つ、米国のロープ救助基準、NFPA(米国防火協会)では、日進月歩のロープ・アクセスやロープ救助のノウハウ、資機材も含め、56年毎に、基準を更新しています。特に、前々回の2012年版では、「ライト・ユース」の「テクニカル・ユース」への変更、ビレイ適格性落下試験法(2022年版で一部改変)の正式導入、従来の荷重なしビレイに加え、TTRSツーテンション・ロープ・システム新方法の追加など、大きく変革しています。また、2017年版以降、産業用の高所作業の影響を色濃く感じる内容です。

当研究室では、NFPA正会員資格を継続、NFPA 10062021年版)、25002022年版)(旧167019831858)の最新版にアップデートしています。

2020年より新カリキュラムで講習会を開催しています。

以後、現在も新技術、資機材、基準・規格の更新を受けて、改変、拡充を継続しています。

こちらよりダウンロードできます。(PDF形式)

2018年秋より、教授法、内容を大きく変えています。以下の3つに分かれますが、特に2つが大きな柱です。

  1. (必須)救助者全員に不可欠な基本であるいくかのロープ救助の型はコアとして教授、習得していただきます。
  2. (必須)理屈である物理・数学や安全基準を整理したものはしっかり座学を中心に教えます。資料も最新のものをお渡しします。考え方、安全基準、専門用語の情報・理解は、リーダー、安全管理者、リガー(システム作成リーダー)には必須、不可欠です。基準、理屈、専門用語の理解・精通は、各器具の取扱説明書の読解・理解につながり、誤使用や限界越えでの無理な使用の防止になります。
  3. その上で、多くの有用有益なTipやコツを実技の状況で教えます。Tipやコツは、必須ではありませんが、知っていると、使えると、かなり便利です。

講習の説明用、参照用に豊富な資料を配布します。希望される方には資料の一部を自己学習用としてデータ提供いたします。内容が多いので、ぜひ、復習などにご活用ください。情報は毎回アップデートしています。ただし、配布・提供資料は一部の公表資料を除き、著作者への無断での転用複写による第三者への譲渡は堅くお断りいたします。
資料データ希望者は、LINEなどで提供いたします。実技の動画データなど容量の大きなものは、当日、(ウィルス防止のために)フォーマットしたカラのSDカードか、USBストレージをご用意ください。当日、受け渡しが出来ない場合は、別の方法を提示いたします。

また、内容に付いての質問などは、講習後も、LINEなどでアフタフォローいたします。どんどんお尋ねください。

ロープ救助・活動レベル1(3日間・2日間・1日)

崖地や急傾斜地、建物の壁面、崩壊地など足場が不安定で現場までの到達が困難な場所において、ロープを使用した救助・活動を行う際に必須となる各基準、墜落保護システム、資機材の特徴と選択、使用法などを含む、基本的な知識や技術そして安全面などを3日間で学んで行きます。

職業的救助者・ロープ高所作業の方はもちろん、山岳をはじめレクリエーションやアウトドア活動の指導者や、各関係者におすすめいたします。特に、リーダー、安全管理者、リガー(ロープ・システム作成者)には、重要な基礎知識スキルをはじめ必要不可欠な内容をふんだんに含みます。

(事前学習)※推奨

可能であれば、事前に結索の作成法(データ資料・動画など)や角度と力の関係のドリルを提供しますので、事前学習をお願いします。当日に一部実施予定です。

初日に、結索や、アンカー、倍力などの基本的なロープ・ワークを正しく学び、倍力引き上げシステム、下げシステムを構築、運用し、実際にメインラインやTTRS(ツーテンション・ロープ・システム)の片方のラインを「破たん」させ、ビレイや残りのラインで墜落を停止させる訓練を行います。

次に机上講習で、ロープ救助の根幹、冗長系システムについて、救助者としての必須の各基準、最大停止力と許容値、力の増幅、資機材に関しての知識面を学びます。

2日目と3日目は、個人及びチーム救助の実技訓練。ロープ・システムを構築し、緩急の斜面での下げと引き上げ。斜面や垂直環境での個人のロープ・アクセス。ビルや自然地形の急傾斜~垂直な壁や、渓谷などを想定した下げと引き上げ。可変を含む担架救助。水平搬送。

ただし、3日間では十分とはいえませんので、ベーシック4日間、アドバンス各コースなどの講習受講をお勧めいたします。

当コースは、NFPA(米国防火協会)の NFPA 10062500(旧167019831858を統合)テクニシャン・レベル(最上位救助者)に準拠したコースです。当研究室では、NFPA 10062021年版)、25002022年版)の最新版にアップデートしています。コース修了者で希望者の方には、専門救助研究室の修了書とスキルシートを発行します。

なお、内容は毎回アップデートしています。2018年秋以降の修了者は割引きでいたします。繰り返しのご参加をお勧めします。

学科講習冗長系システム、ロープ救助の各基準(NFPABCCTREMBCEN)、落下率、最大停止力と閾値・許容上限値、ビレイ適格性落下試験法、安全率(10:1SSSF、工学的安全率)、墜落保護システムと規格(ANZIOSHAEN、労働安全衛生規則など)、アンカー作成、各資機材の紹介(クラッチ、MPD、新旧アイディ、マエストロ、LOV3など)、ハーネスの種類(フルボディ、シットなど)と機能(ポジショニング、作業制限、墜落停止)、チーム体制・指令連絡、倍力、分力、合力、力増幅、吊り下げ不耐性(別名、サスペンション・トラウマ)など
実技講習

結索(ノット・ベンド・ヒッチ)、アンカー(シングル、複数・荷重分担・荷重分配、補強)、緊急ハーネス作成、倍力システム、救助活動を行なう際の基本的な手順、ツーロープ・システム、100%荷重メインライン&荷重なしビレイ(TPBタンデム・プル―ジック・ビレイ、VTプル―ジック・ビレイを含む)、一部荷重分担ビレイ、ツーテンション・ロープシステム(TTRS)、仮設高位方向変換・アンカー、人工支柱(三脚、二脚)、緩傾斜(ローアングル)、担架搬送、アリゾナ・トライ・ブライドル(可変式担架)、ロープ・アクセスによる登高・下降、急傾斜・垂直(ハイアングル、ピックオフ、ピックアップ)

(注意:状況により、内容は入れ替わります。時間制約上、すべては実施できない場合があります。)

受講料

47,000円 (税込)

講習料、資料代(最新資料含む)、修了証、傷害保険加入料
※初日のみ、前半2日のみの受講も可能です。参加費は1日当たり、17,000円。修了科目チェックリストをお渡しします。

※ベーシック(リモートなど)座学修了者は、最大1万円割引き。

※団体受講は1日当たり10万円~を予定しています。内容も合わせてご要望をください。

開催

①2024年10月22日(火)~24日(木)

②2024年12月4日(水)~6日(金)

開催場所:徳島県三好市山城町 / 講師:矢野 哲治

※日程要望受付中。他の地域でも開催できます。ご相談ください。

  • 徳島県三好市で年数回、九州、関東などを中心に日本各地で開催を予定しています。
  • 出張講習や、ワークショップなどの要望も受け付けております。
  • 希望者には、学科1時間の追加補講で、ロープ高所作業・特別教育修了証を発行いたします。追加費用2,000円(税込)
  • 希望者には、学科1時間の追加補講で、フルハーネス型墜落制止用器具・特別教育修了証を発行いたします。追加費用2,000円(税込)
  • 自然の家など、宿泊込みの形態のものは別途、宿泊食事代が実費分必要となります。
  • 3日間コースだけでは不十分です。新コースを順次開設しています。ぜひ、受講をご検討ください。

ロープ救助・活動ベーシック(4日間・3日間・2日間・リモート授業可) (アドバンス2日間)

従来のロープ救助講習会は、3日間で座学と実技を実施するという、コンビニエンス、かつ不十分な内容でした。
ロープ救助や高所作業は、多種類の器具を使用し、角度と力の関係、各基準・規格と、その理由など知るべき情報量がかなりあります。
関わる方、全員が知る必要はないかもしれませんが、指導者レベル、指揮、安全管理、システム担当、コンペテント・パーソンは、知るべき内容です。
座学のみの基礎コースを4日間で開催します。
内容の一部を受講(1日、2日間、3日間)も可能です。 1日目の大原則を修了すれば、2日目以降は1日単位での受講が可能です。
斜面や垂直状況、水平移動に、ロープを使用した救助・活動を行う際に必要となる基礎の知識や技術そして安全面等を4日間の行程で学んで行きます。
初日でロープ救助・高所活動の考え方、基準・規格(BCCTR、NFPA、EMBC2016、EN、墜落保護システムなど)、力の計算、最大停止力、関連する衛生などを学びます。
2日目は下降器を除く、ロープと資器材の紹介、特徴、使用法、限界、選択、洗浄、保守など。
3日目は下降器について、特に代表的な多機能DCD(下降制御器)の取説、技術情報の理解の仕方、公表データについて解説します。
4日目はロープ・システムで最重要のアンカーと、メカニカル・アドバンテージ・システム、倍力(プーリー・システム)です。
可能な限り最新の情報・技術を紹介、提供します。
5日目と6日目は、アドバンスコース。フレームと、オフセットとハイラインの基礎。

当コースは、NFPA(米国防火協会)の NFPA 1006と2500(旧1670と1983、1858を統合)に準拠したコースです。

当研究室では、NFPA 1006(2021年版)、2500(2022年版)の最新版にアップデートしています。

コース修了者で希望される方には、専門救助研究室の修了書とスキルシートを発行します。

なお、内容は毎回アップデートしています。2018年秋以降のロープ関連の他のコースの修了者には割引きいたします。

また、当面、再講習は無料ですので、繰り返しのご参加をお勧めします。

 

学科講習

(1日目)ロープ救助・活動の基本原則です。2日目以降の受講には、この1日目の修了が必須となります。

〇救助の基本・理念/冗長系システム。ビレイ基本形4タイプ。緩斜面。中斜面。急斜面~垂直。

〇角度と力の関係/分力。合力。偏差。90度ルール。力の増幅、展張ルール。ベクトル・プル(ベクター)。

〇各基準・規格/労働安全衛生法。NFPA。欧州(EN)規格。ANSI。OSHA。UIAA。ASTM。CI。BCCTR。EMBC(2016)。1人荷重。救助荷重。ビレイ適格性落下試験法。

〇システム安全率と力制限システムFLS/静的システム安全率。工学的経験則。最大停止力MAFと閾値12kN、制限値6kNと8kN。最大伸長と停止距離(クリアランス)。落下率FF。WLLとSWL。

〇墜落保護システム/墜落、危険、安全の活動区域分けと管理。墜落保護システムの4段階(移動制限。ポジショニング。墜落停止。高所救助)。ロープ・アクセス・システム。IRATA。SPRAT。

〇ロープ救助最悪事故例WCE。事故原因。4つの要素。ハザード(危険性・危険物)の識別と対応法。

〇チーム構成、役割/指揮。安全管理。システム。メイン。引手。ビレイ。ロープテイラー(バックアップ)。連絡。エッジ。付添救助者。他。コンペテント・パーソン。

〇3つのツーロープ・システム(独立2系統ロープ)その1/設置の違い、機構・原理、長所と短所、など

  • 100%荷重メイン+荷重なしビレイ/TTPBやVTプル―ジック・ビレイの長所と短所
  • 一部荷重分担ビレイ/長所と短所
  • ツーテンション・ロープ・システム(TTRS)/長所と短所

〇結索/T.D.S.(結ぶ、整える、締める)4ファミリー(オーバーハンド、8の字、もやい、ヒッチ)。末端(ターミネーション)とエンド長。ロープ内(インライン)。※一部の結索の作成法を紹介します。

(2日目)ロープ及び(DCD以外の)資機材の基礎。

〇器具/個人保護具PPE。選択。洗浄。検査。保守。寿命、廃棄。

〇ハードウェア/連結器。プーリー(滑車)。エネルギー吸収器具。ランヤード。他

〇ロープ・コード/構造、カーンマントル。材質。伸び率。ウェビング(中空、フラット)、スリング。

〇ロープクラブ(クランプ)/ハード(カムの構造の違い)。ソフト(プル―ジック)。

〇3つのツーロープ・システム(独立2系統ロープ)その3/各器具との相性や推奨品

〇衛生問題/サスペンション・トラウマの発症要因・機構、前失神、予防、対処法、救助

〇ハーネス/フルボディ・ハーネス(FBH)。フォールアレスト。ポジショニング。1点吊り。2点吊り。

(3日目)

DCD 下降制御器具/1人荷重用。2人荷重用。自己起動停止(ハンズフリー・ストップ)。TTRS

  • 非オートロック/エイト環、ムンタヒッチ、ビレイ・プレート(ATC)、スカラブ、バーラック、他
  • 非オートロックのオートロック化システム/下降器+リダイレクト+SPまたはVTプル―ジック
  • オートロック多機能DCD/新旧アイディ、リグ、マエストロ、MPD、クラッチ。他(LOV2,3)。
  • DCDタイオフ固定問題と破断強度

〇3つのツーロープ・システム(独立2系統ロープ)その3/各DCDの適合、使用方法例など

  • 100%荷重メインライン+荷重なしビレイ /荷重なしビレイでのDCD操作など
  • 大半荷重分担メインライン+一部荷重分担ビレイ/長い下げ問題。軽量対応。1人荷重と2人荷重モードなど。
  • ツーテンション・ロープ・システム(TTRS)/自己停止起動機能の人的無効化問題。操作など。

(4日目)

〇アンカー/防爆(ボムプルーフ)。強固(サブステンシャル)。限界(マージナル)。EN規格強度。

  • 荷重分担(ロード・シェアリング)アンカー。
  • 荷重分配(ロード・ディストリビューティング)アンカー/ フローティング(分散)アンカー
  • 単一(シングル)アンカーの種類、強度、限界。32引。FOB
  • フォーカス(焦点)アンカー。フローティング(浮揚)アンカー
  • バックタイ。フロントタイ。

〇倍力(メカニカル・アドバンテージ、ホーリング・システム、プーリー・システム)

  • メカニカル・アドバンテージ例/テコの原理
  • 3つの型/単純(シンプル)。複合(コンパウンド)。複雑(コンプレックス)。
  • ホストロープ以外での倍力システム/ギャングド、ピギーバック。

(5日目と6日目)アドバンスコース/

〇フレーム基礎/アリゾナ・ボーテックス新取説(ロックエキゾチカ2019年とCMC2020年を独自翻訳)資料を基に、基本構成(3脚、2脚、1脚)と設定(頭と足の固定など)、基本原則(合力、圧縮力など)。

〇ハイライン基礎/水平ハイラインと傾斜ハイライン。オフセット(タグ、ガイディング、トラッキング、ディフレクション、ツーロープ)

受講料

4日間 58,000円 (税込) ※リモートの場合は、連続2日間での講義を推奨。

講習料、資料代(最新資料含む)

※1日のみ 1,6000円。2日間のみ 31,000円。3日間のみ 45,000円。アドバス含む5日間 70,000円。6日間 81,000円。

※2018年秋以降、矢野のロープ系講習を受講された方は、最大1万円割引いたします。お申し出ください。

※他コース受講の際は学科分を認定し、その分の受講免除や、割引きいたします。

開催

第1日(基本原則)①2024年9月26日(木)  ※リモート開講

※第2日以降の受講は、第1日(基本原則)の修了、あるいは、同等が前提となります。2022年以降の学科&実技講習会3日間修了生も含まれます。

第2日(ロープと各器具)①(調整中)  9時~18時 ※リモート開講

第3日(DCD 下降制御器とビレイ器)①(調整中) 9時~18時 ※リモート開講

第4日(倍力/プーリーシステムとアンカーシステム) ①(調整中) ※リモート開講

第5日(高位方向変更フレームと、ハイライン・オフセットその1)①(調整中) 9時~18時 ※リモート開講

第6日(ハイライン・オフセットその2)①(調整中) 9時~18時 ※リモート開講

※開始時間に間に合わない場合は、終了後、12時間補講できます。ご要望ください。

上記以外の日程調整中・開催場所:(未定)

※1ヶ月以上先の日程で、随時、希望日を受け付けます。

※すべて、講師:矢野 哲治

※オフセット・ハイラインを拡充し、それぞれ、1.5日コースとします。ベーシック4日間、アドバンス2日間、最大6日間を予定しています。

ツーロープ・システム(1日コース)※実技込みか、座学のみの(リモート授業可)

具体的な講習の目標は、以下のツーロープ(独立2系統ロープ)システムの3つの方法をエビデンスに基づいた重要原則から学びます。以前から取り組まれている方にも、学び直しませんか?おすすめです。

方法1. 100%荷重メインライン+荷重なしビレイ(別名、DMDB、SMSB、DMUBなど)

方法2. 大半荷重分担メインライン+一部荷重分担ビレイ(別名、SMSBハイブリット)

方法3. 荷重を2つのラインで半分ずつ分担するTTRS(Tow-Tension Rope System ツーテンション・ロープ・システム)(別名、ミラード、ツインテンションなど)

TTRSの大元はEMBC2016年新基準ですが、合理的な批判なども勘案し、完全なTTRSへの移行はあまり推奨していません。状況に応じ、荷重なしビレイや、一部荷重分担ビレイの方法も実施や切替移行できることを推奨しています。

リスク活動は、最適な時に最適なリスク管理ですので、状況に応じて、ハザードを低減できる方法を利用できることをお勧めしています。

理屈とエビデンスを徹底的に学ぶ座学(リモート授業可)のみコースと、リアル・ビレイ訓練を含む実技とその振り返りで原則やシステムを学ぶ実技&座学コースの2つから選べます。

さらに学びたい方は、ベーシックコースなどの別コースに割引きで受講いただけます。

ロープ救助システムや高所作業では、独立2系統システム運用により、桁違いの安全マージン(余裕)を有します。

北米のロープ救助では、100%荷重メインラインの「破たん」時に、墜落を安全に止める荷重なしビレイの冗長性システムが、1980年代に基準として確立しました。その後、数多くの追試が実施され、システム・資機材の改良開発も進み、2016年、EMBC(カナダ・ブリティッシュコロンビア州緊急管理)の新基準として、TTRS(ツーテンション・ロープ・システム)が確立、採用されました。NFPA(米国防火協会)でも、従来の荷重なしビレイに加え、TTRSが基準として2021年に正式に採用されています。

当コースは、NFPA(米国防火協会)の NFPA 10062500(旧167019831858を統合)に準拠したコースです。

当研究室では、NFPA 10062021年版)、25002022年版)の最新版にアップデートしています。

学科講習

座学だけで徹底的に、基準、物理法則、手放し停止(ハンズフリー・ストップ)多機能DCD(クラッチ、MPD、アイディなど)、非オートロック下降器をプル―ジックで手放し停止化、1人荷重を2人荷重システムに構築、TTRS下げ問題。各基準、実証論文、動画など。各方法の長所と短所。

受講料

17,000円 (税込)

講習料、資料代(最新資料含む) ※リモート授業可

※出張講習の場合は、別途、交通費、宿泊費など全額、または一部請求する場合があります。

※2018年秋以降、矢野のロープ系講習を修了の方は5千円割引、当コースの実技&座学コースとRRA-B座学3日間コース修了の方は、1万円割引いたします。お申し出ください。

開催

日程: 未定

これ以外の日程も、二週間以上先で受け付けます。

ZOOMリモート 9:00~18:00 講師:矢野 哲治

※他の日程調整中。講習の要望をいただければ実施します。

※リモート講習の場合は、当面、1名様から実施。

実技と座学

前半結索や、アンカー、倍力などの基本的なロープワークを(可能であれば事前学習を含み)正しく学び、倍力引き上げシステム、下げシステムを構築、運用し、実際にメインラインやTTRS(ツーテンション・ロープ・システム)の片方のラインを「切断」し、ビレイや残りのラインで墜落を停止させる訓練を行います。

荷重なしビレイ、一部荷重有りビレイ/TPB(タンデム・プル―ジック・ビレイ)、VTプル―ジック、多機能DCDなど

TTRS/自動停止機能無効化に対してのDCD操作者の反応訓練。わざと自動停止機能を無効化しての、バックアップ・ロープ・テイラーの訓練

後半、基準、物理法則、資機材などを座学で学びます。実技訓練を振り返りながらですので、納得、習得しやすいと思います。

※所属や団体での講習会では、リアル・ビレイ訓練時のビデオ撮影(操作個所と、落下の様子の最低2個所)を事前に協議の上、許可します。ただし、受講生は講習に集中いただきたいので、撮影班を別にご用意ください。必要であれば、講習会の報告書も作成します。(別途料金)

受講料

17,500円 (税込)

講習料、資料代(最新資料含む)、傷害保険加入料

※団体受講は1日当たり10万円~(人数により変動。テキスト代別途)を予定しています。

※出張講習の場合は、別途、交通費、宿泊費など全額、または一部請求する場合があります。

※当コースの座学のみコースとRRA-B座学3日間コースを修了の方は、5千円割引いたします。お申し出ください。

開催

日程: 未定

開催場所:箸蔵公民館、他

講師:矢野 哲治

※講習の要望をいただければ実施します。

※最小実施人数/4名

※開催場所:5m以上の高さで方向変換できる場所。

レスキュー3 TRR-T テクニカルロープレスキュー・テクニシャン(3日間)

レスキュー3 TRR-Tの認定資格取得が必要な方は、こちらのコースを受講ください。(2年毎に更新ください。最長3年間有効。)テキスト(英語原本2012年版を基に、2020年日本語訳200ページ)も含まれます。

履修項目はレスキュー3 ですが、内容は、ロープ救助の基本原則に、(テキスト英語原本が2012年ですので、それ以降の)可能な限り最新の情報・技術、説明資料を追加で提供します。ただし、3日間では十分とはいえませんので、ベーシック4日間やアドバンス各コースなどの講習受講をお勧めいたします。

当コースは、NFPA(米国防火協会)の NFPA 1006と2500(旧1670と1983、1858を統合)テクニシャン・レベル(最上位救助者)に準拠したコースです。当研究室では、NFPA 1006(2021年版)、2500(2022年版)の最新版にアップデートしています。

学科講習救助の考え方、レスキュー3 TRRの13カ条、落下率、最大停止力と閾値・許容上限値、ビレイ適格性落下試験法、安全率、NFPAと各基準(ANZI、OSHA、EN、労働安全衛生規則など)の紹介と関連、墜落保護システム、アンカー作成、各資機材の紹介、ハーネスの種類(フルボディ、シット)と機能(ポジショニング、作業制限、墜落停止)、チーム体制・指令連絡(ICS、IMS、連絡方法など)、倍力、分力、合力、吊り下げ不耐性(別名、サスペンション・トラウマ)など
実技講習結索(ノット・ベンド・ヒッチ)、アンカー(荷重分担、荷重分配)、緊急ハーネス作成、倍力システム、救助活動を行なう際の基本的な手順、ツーロープ・システム(メインとビレイ)、高位方向変換アンカー、人工支柱(三脚、Aフレーム他)、デュアル能力ツーテンション・ロープシステム(DCTTRS)、ピックオフレスキュー、緩傾斜(ローアングル)、担架搬送、アリゾナ・トライ・ブライドル(可変式担架)、ロープアクセスによる登高・下降、ノットパス、急傾斜・垂直(ハイアングル)、水平救助(クートニーハイライン、オフセットなど)
(注意:状況により、内容は入れ替わります。時間制約上、すべては実施できない場合があります。)
受講料

55,000円 (税込)

講習料&認定料+教本代(追加最新資料含む)、傷害保険加入料

開催

①2024年10月22日(火)~24日(木)

②2024年12月4日(水)~6日(金)

開催場所:徳島県三好市山城町 / 講師:矢野 哲治

※日程要望受付中。他の地域でも開催できます。ご相談ください。

  • 徳島県三好市で年数回、日本各地で開催を予定しています。
  • 出張講習や、ワークショップなどの要望も受け付けております。
  • 希望者にには、学科1時間の追加補講で、ロープ高所作業・特別教育修了証を発行いたします。追加費用2,000円(税込)
  • 希望者には、学科1時間の追加補講で、フルハーネス型墜落制止用器具・特別教育修了証を発行いたします。追加費用2,00円(税込)
  • 自然の家など、宿泊込みの形態のものは別途、宿泊食事代が実費分必要となります。

Rope Rescue WorkShop ロープ救助ワークショップ(1日)

ロープ救助ワークショップでは、基本的にロープ救助活動レベル1や、レスキュー3 TRR-T、もしくは同程度の講習会の修了者などを対象に難易度の高いフィールド(断崖など)において担架の上げ下げを試みたり、深い渓谷をはさんでハイラインを張ったりなど、これまでに学んだ知識と技術を総合的に応用して、より実践的、かつ応用的な実技を行います。

ただし、レスキュー3など、各資格は不要、不問です。座学も含め、初歩的な内容からお受けいたします。

また3日間のロープ救助レベル1や、レスキュー3 TRR-Tコースでは紹介することができなかった様々な技術、レスキューフレームの作成方法、真後ろにアンカーがとれない場所での応用的なアンカー作成方法、、様々な水平救助(各オフセット、各ハイラインなど)、ピックオフの様々なパターン、最小限の資器材での引き上げ降ろし、1人で2人を引き上げる技術を学んだり、納得のいくまで繰り返し練習を行います。

ワークショップでは様々なパターンを用意できます。できるだけ参加者の希望に添う内容を目指していますので、是非、希望を事前にお伝え下さい。

受講料17,500円 講習料、(必要に応じた)最新資料、傷害保険加入料
開催場所徳島県三好市 / 講師:矢野 哲治
開催時期

(未定)・開催場所:徳島県三好市 / 講師:矢野 哲治

随時、開催可。希望をください。
  • ロープ救助レベル1、レスキュー3 TRR-T講習の前後に、各1、2回の開催を予定しています。
  • 出張講習も受け付けております。

各講習共通事項

最少催行人数何れのコースも6名以上
募集締め切り一次締め切り 開催日の1ヶ月前
※1ヶ月前に最少催行人数に満たない場合は、申し込み予定者に通知し、最終締切日を決めます。
受講資格
  1. 満18歳以上の方
  2. 次の疾病及び疾患が無い方
    • 慢性的な脊柱の疾患
    • 腰痛
    • 膝の痛み
    • 慢性的座骨神経痛
  3. その他慢性的な症状、極度の身体的問題(心臓病、糖尿病等)、3ヶ月以内に起きた肩の脱臼
  4. コース設定の全ての行程に参加できる方

 

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