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消防庁の統計(平成 28年版 救急・救助の現況)によれば、2015年、
傷病者を発見した場合、救急車を呼ぶ事は不可欠ですが、119番通報から到達まで、平均で8.6分かかります。
ところが、心停止の場合は、1分経る毎に7〜10%蘇生率が低下します。10分が経過すると、ほとんどの場合、蘇生は不可能になります。
救急車が到着するまでの初期対応、応急手当の有無は、傷病者の生死を大きく分けることになります。
CPRやAED(自動体外除細動器)を含む救急法を学び、習得し、実施できる市民が増えることは、
これまで死に至るしかなかった症例の一部を、確実に生存につなげることになります。
さらに反復練習をしたり、定期的に講習を受けることは、CPRを含めた応急手当の質を高めることになり、救命が高まるといえます。
AEDは驚異的な成果を上げています。
AEDは、2004年7月から一般市民も取り扱えるようになりました。その後、急速に普及し、各施設での設置など、市民が取り扱える国内でのAEDの一般施設での普及台数は2014年に約47万台前後と、世界トップクラスです。
あなたのすぐ近くに利用できるAEDがあります。(ほぼすべての学校施設にはあります。)
AEDは、まったく知識のない方もすぐに扱えるようになっていますが、普及台数に比べ、実施数の低さをみれば、事前のAED講習受講の必要性が求められます。
救急法を受講することで、より迅速で的確なAED対応ができるようになり、AED有用性の啓もう効果も期待できます。
(追加情報)
日本全国AEDマップ 事前に場所を確認しておきましょう。
心原性の心停止に対するAED(自動体外式除細動器)の有効性は劇的なものがあります。しかし、AEDは、CPR(心肺蘇生法)との組み合わせでより高い効果を発揮します。
2015年、心肺機能停止の時点で一般市民に目撃された(
41,612人)内の、17,116人(41.1%)が、溺水、のど詰まりなどの呼吸器系を含む非心原性で、AEDが有効ではない可能性が高くなります。
特に、窒息などの呼吸器系の心停止には、CPRが有効です。
CPRを実施するには、事前に、救急法の講習を受け、習得することが不可欠です。
子供の心停止は、気道や呼吸に関係していることが多く、AEDよりも、質の良いCPRが必要と言われています。
ある研究によれば、心停止の内、36歳以上はAEDが有効な心原性が多いのに対し、35歳以下では非心原性が多くなります。 19歳以下の心停止の83%が非心原性との研究報告もあります。(JRC蘇生ガイドライン2015(オンライン版)「第1章 一次救命処置(BLS)」p.11)
消防庁の統計(平成 28年版 救急・救助の現況)でも、2006年〜2015年の10年間で、AEDが有効となる心原性の心停止は40才以上では50%以上に対し、29才以下では3分の1以下となります。29才以下の3分の2以上は質の高いCPRが求められる非心原性の心停止となります。(救急編p.82とp.111)
小児の心停止の原因としては、呼吸状態悪化や呼吸停止に引き続く心停止(呼吸原性心停止)が成人に比較して多く、乳児はじめ低年齢の小児になるほどその傾向がつよいと考えられています。
呼吸原性心肺停止は、呼吸停止に引き続いて心肺停止となりますが、呼吸停止だけの状態で発見され、心停止に至る前に治療が開始された場合の救命率は70%以上と報告されています。(JRC蘇生ガイドライン2015(オンライン版)「第3章 小児の蘇生」p.6)
心臓が原因の突然死の多くは、不整脈の一つである心室細動(VF=Ventricular fibrillation)が起こしています。心臓が正常で充分な脈が打てず、充分な血液が送り出せなくなる現象です。
そのまま放置すると10分前後で確実に死に至ります。
AED(Automated External Defibrillator)=自動体外式除細動器はその名の通り、電気ショックにより、この心室細動を取り除き、正常な脈拍に戻す装置です。
成人の正常な脈拍数は1分間に60〜100回ですが、不整脈の一つに、心室頻拍(VT=Ventricular tachycardia)があり、1分間に100回以上の脈拍が継続し、心室細動に移行する恐れがあります。
心室頻拍の中でも脈のないものを無脈性心室頻拍といいます。
AEDは、自動的に心電図を解析し、心室細動および無脈性心室頻拍の時だけ、電気ショックを行うように音声の指示が出ます。また2分毎に自動解析を繰り返します。
脳が衝撃を受けて発生する「脳しんとう」に対し、「心臓しんとう」は、胸が衝撃を受けることで発生し、ひどい時には心臓が不整脈を起こし、突然死の原因になります。
その大半が、心室細動であり、AEDで対応できます。
特に胸郭が未発達な子供が、スポーツ中、ボールや格闘技、子ども同士のじゃれあい、体罰などで胸に衝撃を受けた際に発生することがあります。(未成年者は、胸部がまだやわらかいので衝撃が心臓に伝わりやすい。)
学校やスポーツ施設へのAEDの普及と、事前のAED講習を受けることが的確な対応につながります。
なお、予防として、専用の胸部プロテクター(胸部保護パッド)も開発され、販売されています。
2015年の人口動態調査によれば、
各救急法のコースには、異物による気道閉そくへの対応法も含まれています。
乳幼児対応の救急法コースもあります。
(追加情報)
あなたのお子さんは安全?消費者庁の0〜3歳頃の幼児・小児の事故防止・対応ページ
初期の段階で最も有効な蘇生処置(AED、CPR)を学ぶ半日コース(申込人数により、6,500円〜9,500円)。それに加えて、ケガの手当てなどを学ぶ1日コース(申込人数により、10,000円〜13,000円)。乳幼児を含むコースもあります(申込人数により、8,000円〜11,000円)。
近年、熱中症への関心が高まっています。凍死に加え、低体温症が認識されるようになりました。高温・低温環境における死亡者の増加は、単なる増加だけでなく、それまで別の死因とされてきたものが、カウントされるようになったためだと思われます。
人口動態調査によれば、2006〜2015年の年平均で以下のように死亡者が出ています。(前の10年との比較、1996〜2005年の年平均)
熱中症も低体温症も、脳、内臓など重要器官の温度上昇・低下が進行すると重度へ移行し、放置すると短時間で命に関わります。
救急法の講習会のベーシッププラスには、「熱疲労(軽度の熱中症)」「熱射病(重度の熱中症)」「低体温症(軽度・重度)」「凍傷」の各項目が含まれます。
アレルギー物質が体内に取り込まれることより、アレルギーとなる方がおられますが、10万人当たり年間10〜20人が、劇症化し、命にかかわるアナフェラキシーショックになるとの報告があります。
人口動態調査によれば、2006〜2015年の10年間で、(前の10年との比較、1996〜2005年の合計)
ある研究によれば、アレルギー物質が薬剤であれば、取り込んでから5分、ハチ毒ならば15分、食物であれば30分で、気道が腫れて塞がれ、呼吸困難→呼吸停止を経て、心停止にいたると報告されています。
何よりアレルギー物質を取り込まない予防が第一ですが、万が一のアナフェラキシーショックに備えて、エピペンなどのアドレナリン自己注射の携行、抗ヒスタミン剤を救急箱に常備するなどおすすめです。
なお、野外活動ではスズメバチなどが脅威になりますが、ハチ毒による過去10年間の死亡者(186人。男79%。刺されるのは野外が大半ですが、23.1%は家庭です。)は、全員35歳以上です。(30代は1名のみ。残りは40歳以上)。中年以降は特に要注意ですね。
救急法の講習会には、アナフェラキシーやエピペンについての項目が含まれるコースがあります。
(さらに知りたい方へ)
「アナフェラキシーとは?」エピペンを販売しているファイザーのページ
重要!エピペン不良品自主回収告知(ファイザーのページより)
■回収対象製品および出荷期間
エピペンR注射液 0.3 r(回収対象は以下の製造番号製品のみです)
日本国内では、有毒動植物による死亡例がもっとも多いのは、(蚊を媒介とする病原を除けば)スズメバチに刺されてのアナフェラキシーショックによるものです。次いで、多いのは、ダニ刺されによるもの。
古来より、ダニの一種、ツツガムシ刺されによる死亡が恐れられきましたが、近年では、東北を中心に年に1〜3人ほど犠牲者が発生しています。
2011年にウィルスが発見さればかりのSFTS(重症熱性血小板減少症候群)が、2013〜2018年の3年間で、西日本を中心に65人の死亡者をだし、拡大の傾向です。
ダニに刺されないために、野外では肌を露出しない、忌避剤を利用するなど心がけ、刺された場合は早目に受診されたほうがいいでしょう。
救急法の講習会のベーシッププラスには、「ダニの咬傷」の項目が含まれます。
(さらに知りたい方へ)
マダニ対策、今できること (国立感染症研究所)
つつが虫病に注意しましょう! (秋田県庁)
川・海・湖などやその近くで活動する際、ウォータースポーツなどでは溺水の可能性があります。
人口動態調査によれば、2006〜2015年の年平均で以下のように溺水の死亡者が発生しています。(前の10年との比較、1996〜2005年の年平均)
水の事故は、溺れることで気道が確保できず、呼吸停止から心停止へ、10分ほどで急速に悪化します。CPR(心肺蘇生法)はあくまで万が一の対応スキルで、溺れないための予防が最優先、大原則です。
水域や転落する可能性がある場所で活動する場合は、ライフジャケット(救命胴衣)など、浮力のある胴着着用や補助具の用意が肝要です。
陸上から安全に救助するために、ポリプロピレン素材でできた専用の浮くスローロープや、その代用品を用意しておきましょう。
水事故の特徴の一つは、流水の危険性への理解が不足している若者や、安全管理の自覚のないリーダーに引率されたグループ内の子供が溺れる事故です。さらに居合わせた方が十分な装備なしでの救助中の二重遭難が多発しています。
溺れた際に肺に水が入り、肺浮腫などで、数時間後に「二度目の溺水」状態になる可能性があります。
救助後は必ず病院で受診させるか、24時間の経過観察が不可欠です。
ライフジャケットの着用は当然として、流された場合の想定、下流の状況、上流への見張り、安全管理など、事前の対策も不可欠です。
流水救助の各講習会は、救助員の養成にとどまらず、リーダー養成や流水についての知識、スキル、体感するのにおススメです。
川で遊泳中におぼれる原因・要因はいつくつもありますが、その中でも、深み、大小の渦、流れ、何れも遊泳者が「想定外」=予期せぬ危険因子に遭遇して、対応・反応が慌てることで水を飲み溺水につながると思われます。
関連動画/川の流れには至る所に大小の渦ができます(0:41)
関連動画/エンドレス・スイム 川に潜む危険、流れ(5:46)
ライフジャケット(救命胴衣)を着用していても流水では防げない事故があります。
残念ながら、いずれの事故も国内でも発生しています。
普段水がない、道路や地下道や続く階段などでも、「ゲリラ」豪雨により、一時的に流れが発生し、川となり、ガードレールが、ゴミが、マンホールが、日常生活の場所でも危険個所となりえます。
関連動画/シーブ事故現場調査(4:31)
人口動態調査による、2006〜2015年の年平均で以下の転落の各項目の死亡者数(前の10年との比較、1996〜2005年の年平均)
救急法の講習会には、CPRなどの一次救命、止血などの二次救命、ケガの処置などを含む項目があります。
ロープ高所作業特別教育・ロープ救助の各講習会には、高所作業中、ミスなどで落下しないための技能取得や、高所などでの救助技術が含まれます。
サファリ(四国レスキュートレーニングセンター)は、四国で唯一、MFA メディック・ファースト・エイド®のインストラクターにより救急法の講習会を開催しています。
サファリの主な種目、ラフティング、キャニオニング、ハイドロスピード、SUPなどは、何れも“水モノ”ですので、溺れる危険性が隣り合わせです。万が一、参加者、スタッフ、川で遊ぶ方が、水難事故にあった場合、陸に上げて最初の対応が、質の高いCPR(心肺蘇生法)の実施です。
これまで、消防や日赤の救急法の講習会を受講してきましたが、スタッフの救急法スキルの最適な選択がMFAでした。
MFAは、質の高いCPR講習を始め、日常生活で有用な各救急法を含んでいます。
MFAの有資格期限は2年間です。最低でも2年毎の受講をおすすめします。
2年毎が無理な方でも、5年毎の受講はいかがでしょうか。
救急法の国際的なガイドラインが5年毎に協議・改訂され、MFAのテキスト、講習ビデオも合わせて改訂・新作となります。
現在は、ガイドライン2015で、MFAのベーシックプラスのテキストも2016年に改訂され、何と、テキストは、94ページが124ページと30%以上、増量=情報が増えています。
ビデオも、完全新作で、107分もあります。
万が一の、「救急時の家庭の医学」としての利用価値もあります。おすすめです。